専門工事業イノベーション戦略(中間とりまとめ)の概要
[現状認識]
現状のまま全ての業者が生き残ることは不可能
元請・下請を問わず厳しいコストダウンの圧力下に
7割外注の中で、建設生産のプロセスの中核は専門工事業者
経営革新や新分野進出の動きも → 大競争の時代
努力し、伸びようとする者にはチャンス
専門工事業は非常に多種多様
専門工事業イノベーション戦略
=専門工事業者の経営革新等の将来戦略の道しるべ、指針
→何らか経営革新や経営力・施工力強化の意欲を有するものが対象
(一部のトップレベルの企業のみならず、大多数の専門工事業にとって、参考になるもの)
多様な建設生産・管理システムの形成
経済環境の激変、コスト意識の高まり、専門工事業者の技術力の上昇等の中で、多様な建設生産・管理システムの形成の動き
→分離発注、異業種JV、CM方式等多様な建設生産・管理システムが出現し、技術と経営に優れた専門工事業者のチャンスが拡大
いずれも発注者者にとってメリットがあり、なおかつ、専門工事業者の活躍の場が増えるもの
・分離発注〜発注者に選択されるための努力を
・異業種JV〜対象工事や契約関係についてさらに検討を
・CM方式〜建設生産・管理システムの変革等に大きな影響を予想、早急に検討を。
経営力・施工力の強化
これまで、専門工事業には、自発的なコストダウン、差別化、経営革新、企業連携などへの取り組みが希薄
今後、様々な形での経営力・施工力の強化こそ、生き残りの道
@コストダウン及び差別化・高付加価値化の推進
他産業では、下請企業においてもコストダウンや差別化・高付加価値化への懸命の努力
専門工事業も、コスト管理能力を高める必要
新工法の開発、品質の向上、提案力の強化などによる差別化・高付加価値化を
さらに、経営者の意識改革や、専門工事業における国際化も必要
A企業連携等、競争力強化のための新たな組織のあり方
技術と経営に優れた企業を目指す中、様々な形の企業連携は不可欠
総合化による一括受注も競争力の強化等に有効であり、企業により、一つの選択肢
企業連携等を進めるにあたり、施工管理ができる人材や多能工の育成を
B新分野進出(リフォーム市場等)
新規の建設投資の増加が期待できない中、各種の新分野は大きなビジネスチャンス
・従来の業種の枠を越えた事業の展開を
・また、リフォーム市場は、特に有望な市場
→消費者への的確な情報提供、責任施工、アフターサービスなどに取り組みを
C情報技術(IT)の活用
ビジネスチャンスの拡大に情報技術の活用は不可欠
(例 社内での情報の電子化、インターネットを活用した取引、各種情報のデータベース化、
消費者への直接の情報提供等)
あらゆる企業に情報技術の活用の可能性あり
D業界団体の新たな役割
団体リーダーが企画力・先見性を持つことが極めて重要
意欲ある会員を助ける役割に重点を
元請下請関係の適正化
指し値発注や支払い条件の悪化
価格のみの発注
→下請への一方的なしわ寄せは、労働条件の悪化や品質の低下を招きかねない
↓
いかにして、元請との間で対等なパートナーシップの構築を図るかが課題
元請も厳しい市場環境。下請は、受け身でなく、自発的な判断、行動により新たな元請下請関係を築いていくという気概を
・下請は、できない仕事は受注を拒否するという選択肢を
・行政も施工体制台帳の活用等に配意すべき
・協力会の役割の変化→新たな関係の構築や市場の開拓を (元請も、協力会の中での選別等を始めている)
・技術・経営をみがくことが必要
・取引相手は、自らの判断とリスクで選ぶものとの意識の徹底を
労働・人材
長期的には技能労働者不足の逼迫が生じる可能性
・従来の徒弟制的な技術・技能の継承には限界
・人材育成には多大な時間・費用を要す
↓
・企業経営における戦略的人材育成の推進
・基幹技能者や多能工の確保・育成・活用
・教育機関との連携、マスメディアを通じたPR等による優秀な人材の確保
・新規分野における人材の育成と効果的な教育・訓練の充実等
・情報技術を活用しうる人材の育成