建設業経理研究会報告書
「工事進行基準の研究」の公表について
建設業経理研究会 収益認識研究部会
1.建設業経理研究会 収益認識研究部会 設置趣旨
 証券取引法に基づく会計制度においては、2000年3月決算から個別企業情報と企業集団情報(連結情報)との主従の転換、キャッシュ・フロー会計の導入等、新たな展開が図られた。また、2001年3月決算からは、販売目的の有価証券等の時価評価や退職給付会計が導入され、100年近く続いた取得原価を基礎とする伝統的な会計理論が大きく転換した。 一方、建設業界への影響としては、税法が、長期大規模工事について、工事進行基準を適用しなければならない範囲を定めたために、工事収益の認識に大きな変革が生じた。近年は、公共投資の削減による工事量の減少に伴う収益低下を補うため、税法規定とは係わりなく工事進行基準の適用範囲を拡大していく企業が増加している。 しかし、これまで工事完成基準を適用する企業が大多数であったことから、工事進行基準の実務的慣習は未だ醸成されておらず、実務の対応に苦慮している建設会社も少なくない。工事進行基準の明解な実務指針等が存在しない現状において、この問題は、企業会計上の適正な収益認識の問題においても、国税当局との見解整理の問題としても、残された重要な課題と認識せざるをえない。 当財団では、平成7年に建設業経理研究会を設置し、建設業会計に関する課題へ取り組んできたところである。工事進行基準に係る実務上の問題点を把握するとともに、工事進行基準の実務指針等の作成を目指し、適正な会計処理を普及させるため、建設業経理研究会のもと「収益認識研究部会」を設置し、調査研究を行うものとする。
(2002年7月)


2.委員
(50音順)
石川直久
岸 洋平
田原 悟
(主査)東海幹夫
濱本道正
山浦久司
若松昭司
樺|中工務店 経理部収支担当課長
公認会計士 中央青山監査法人
前田建設工業梶@財務部財務グループ課長
青山学院大学 経営学部教授
横浜国立大学 経営学部教授
明治大学 経営学部教授
公認会計士 新日本監査法人


3.報告書目次
「工事進行基準の研究」建設業経理研究会 収益認識研究部会

はじめに

第一部 建設工事の収益認識基準
 1.わが国の会計基準
 2.国際会計基準、欧米基準
 3.公認会計士監査
 4.法人税法
 5.工事進行基準と商法
 6.建設業許可と経営事項審査
第二部 建設工事受発注の実態認識
 1.契約
 2.重階層構造
 3.施工管理、進捗管理
 4.設計変更、値増、追加工事
 5.工事費の支払方法
 6.実行予算、原価管理
 7.共同企業体
 8.拡大建設業経理研究会実施報告〜建設業の収益認識に係る意見交換会〜
第三部 「工事進行基準―指針への方向―」
 1.工事収益認識の基本的な考え方
 2.工事総請負金額−契約金額の認識−
 3.工事進捗率の測定と原価の把握
 4.具体的な会計処理
 5.建設業の経営管理と工事進行基準


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