こんにちは建設マスターさん


 
建設マスター 第2回受彰者 左官工

竹下 勝美(59歳)さん 池本工業(株)(東京都)

 ひと言で「左官工事」といっても、その仕事内容はさまざまだ。「漆喰やプラスターなど材料でも違うし、建物の内側と外側がある」と竹下さんは説明する。共通しているのは鏝を使うこと。気候や温度で出来上がりが左右される繊細な世界だ。

  これまで多くの現場を経験してきた。しかし、「これでいいと満足することはない。常に勉強です。自分で満足していてはだめです。それよりも周りから『上手くいったね』と言われることが一番嬉しい」と謙虚だ。

 秘訣は、「一度始めたら躊躇してはならない。集中して一気にやることです」と言う。 

常に勉強が信条だ  
 仕事を始めて約40年。「この世界は、入って3、4年は修行です」というように、一人前と認められるには、かなりの下積みが要求される。最初は先輩の仕事を見ながら、材料を練ることから始めた。練習というより本番の積み重ねだ。コンクリートのムラ直しといった仕事から徐々に仕事の幅を広げていく。辛抱が要求される仕事だ。

 そのことは、後進の指導・教育の礎にもなっている。「辛抱第一ですが、でもやる気次第です。覚える気さえあれば早い」と、集中することの大切さをあげる。

 長年の仕事で、左官工事の移り変わりも見てきた。「塗ること自体は変わりませんが、材料と工事の内容が変わってきました」と振返る。特に「最近、左官の仕事が表面に出る仕事が少なくなりました」と残念がる。左官が下地のようになり、その上にタイルを張ったりすることが多いそうだ。

  左官の仕事は集中力が大切
  一番の思い出として残る「伊豆の長八美術館」。建築家・石山修武氏が設計し、日本左官組合が総力をあげて取組んだ仕事だった。ここに全国から集結した達人の一人として参加し、漆喰の作品集ともいえる美術館を仕上げている。  伊豆の長八美術館のように、「自分が塗った壁が見える仕事、つまり左官の仕事が表面に出る仕事をするのが夢です」と、今後を見据える。

腕の一部となる鏝はすべて自前だ 今は材料の調合も水を入れるだけ
     
  資料提供:EAST TIMES 2001年2月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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