こんにちは建設マスターさん


 
建設マスター第2回受彰者 配管工

松本 貞美(52歳)さん (株)山口工業(東京都)

 建物が完成するとほとんど見えなくなるが、建物内にはさまざまな配管設備が縦横に走っている。そのうちの給排水のための配管を取付けるのが松本さんの仕事だ。

  生活の根幹に関わる水を扱う給排水管の工事では、「水を漏らさない。使いやすくする」が、何よりも優先される。従って、配管を接続する継手部分の施工はもっとも神経を使う作業だ。配管は鉄管やビニール管等があり、太さもさまざま。図面を基に現場で加工しながら、接続していく。

  パイプを切断したりねじ込んだりと、配管工事のための道具は多い。ただ、松本さんが仕事を始めた頃に比べると、工法はかなり簡素化されてきているそうだ。技術の進歩は喜ばしいが、簡素だから、ともすれば安易に扱いやすいと心配し、道具の扱いから配管の組立、継手の確認などには気を使う。

水は漏らさず、使い易くが持論  

 仕事をスムーズに進める秘訣は、「手戻りをなくすこと」に集約される。配管を組み立てるにも途中の材料がないと前に進めないから工程に影響し、とり戻すには倍のエネルギーがかかる。それだけに入念な計画と準備、安全性が大切だ。

  一人前になるには10年はかかる配管の仕事も、人手不足に加えて高齢化が進んできた。ちょっとした油断が事故につながる。この世界に入って30年以上、自分の担当現場で災害がないのが一番の自慢だ。

  松本さんのモットーは、自分一人が頑張っても1だが、10人なら20の仕事もできるということ。「苦労した現場の記憶は鮮明で、『あの現場でやれたのだから今回もできる』とエネルギー源にしている」と、松本さんは前向きだ。

  一線を離れても現場との接点は多く、安全指導もする
   現在、仕事の中心は、見積りや実行予算の作成に移り、現場作業からは少し離れた。ただ、都内の複数の現場を回り指導するので、現場や職人さんと接点は多い。
  「若い人たちは、きちんと理屈を説明して教えると、よく理解してくれます」。松本さんがやって見せると、理解力はより高まるそうだ。技能の継承には、教え方が大切になると、見ている。

配管工事も簡素化が進んできた 施工状態の確認は重要だ
     
 

資料提供:EAST TIMES 2002年3月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)

 
<< 目次へ