こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第2回受彰者 内装仕上工

笹木 光治(48歳)さん (株)岩野商会(長野県)

 柱・梁は骨格であり、これがないと建物は存在し得ない。でもコンクリートなどが剥き出しでは、あまりにも味気ない。床にカーペット、壁にクロス、天井にボードというように、いわば建築に彩りを与え、豊饒な空間を演出するのが内装仕上げの仕事だ。

 この仕事に入ったのは、高校卒業後の昭和46年に、所属する(株)岩野商会が運営する内装関係の学校に入ってのことだ。

 高校時代は美術部で、もともと色彩に興味があったのに加えて、今でいうインテリアコーディネーターのイメージがあったのがきっかけだった。

 ひと言で内装仕上げといっても、仕事の場所によって内容は大きく異なる。現在、もっとも得意としているのはタイルカーペットによる仕上げだ。コンクリート床スラブの上に下地材を塗り、上にカーペットを敷いていく。

自分の家だと思って仕事を、が口ぐせ  
 床の隅の方になると、カッターナイフでカーペットを切断してきっちり納める技能が不可欠になる。そのため「かつては指を切る事故が多かった」という。「昔は指を切って仕事を覚える」とさえいわれたほどだ。

 現在、現場だけでなく岩野学園でカーペットの仕事を教える日々。かつての体で覚えるから、カリキュラムに沿った実践的な教育へと時代は変わった。「国家資格試験を全員に受験させ、全員を合格させたい」と指導にも熱が入る。

 「内装工事は光との勝負です。光を当てると良し悪しがわかります」。

  手際のよさで瞬く間に空間に彩りが出る
  例えば、光が左から入ってくるときの壁のクロス張り。「クロス同士の重ね合わせは、左のクロスが下です。逆だとクロスの厚さの分、陰が線になって出てしまう」というように、光を意識しないといい仕事はできないのだ。それと下地が命。下地が悪いと最後まで品質に影響する。

 今の夢は現場で工夫しながら、人ができない仕事をすること。そして、自分たちで勉強した成果を現場対応型の手順書のようなものにまとめたいと、技能の伝承にも思いは広がる。


図面をもとに要求されたデザインに仕上げる 下地材は仕上げに直結する内装の命

  資料提供:EAST TIMES 2001年3月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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