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大石 隆雄(52歳)さん (株)みなと (静岡県)
橋梁工事の中で、橋桁の架設を担うのが橋梁特殊工、いわゆる“橋梁トビ”だ。
高所での作業、しかも何もない空間に桁を架けていく仕事は、常に危険と隣り合わせ。
まさに特殊な技能が要求される男の世界だ。
架設といっても「仕事の内容は決められた一つではなく、その手順も親方によって違います」と大石さんは言う。もちろん、学校で教えてくれるものではなく、現場で経験を積み上げて技を習得してきた。
多くの現場経験で得たことは、「先を見る目の大切さ」だ。
大石さんは、「現場の円滑な運営に絶対に欠かせない」と強調し、常に先を読みながら現場に目を光らせる。
現在の仕事場は、第2東名高速道路大井川橋の工事。トビの専門用語では、作業の中心的な役割を担う職人は“棒心”と呼ばれ尊敬、信頼される。
大石さんは、さらにその上の立場で作業を指揮する。
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常に先を見て考える |
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普段は穏和だが、危険と隣り合わせの仕事だけに「気を抜いたり、危ないことをやっていたらその場で怒鳴る」と言う。そして、どんな小さなことでも見逃さない“こだわり”を持つ。
「例えば、ボルトが一つでもうまく入らないとします。たった一つですが、必ず原因があるはずです。だから徹底的に原因を調べて対応します。
一つのことが後になっていろいろな所に歪みとなって出てくるのです」
そのこだわりと徹底ぶりは、この仕事にかける情熱と誇りの証明であり、
元請の信頼は厚い。
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ジャッキで桁を送り出す |
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橋梁特殊工にとって一番の喜びは、「桁が一つに繋がって、初めて渡る時」だ。
「その喜びをこれからも味わいたいですね」と、今後も最前線での仕事に意欲を燃やす。
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