こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第9回受彰者 木製建具工

数原 政義(52歳)さん 青島建具工業(株)(静岡県)

 建具とは、ドア・障子・ふすまなど人の出入りや換気のために開閉するものを総称して呼ぶ。これらを工場で作ったり、できあがった建具を現場で取り付けるのが建具工の仕事だ。

 繊細かつ微妙な職人の技が求められる世界だ。なかでも建具に施される細工は職人の技がもっとも冴えるところで、それ自体が一つの芸術作品と呼ぶにふさわしい。小さな木片を何千枚も組み合わせて一つの建具にするというように、根気のいる仕事でもある。

 建具は、図面を見ながら一つひとつ手作業で作りあげていく。だが、「与えられる図面はディテールの部分まで示されているわけではありません」と数原さんは話しながら、「図面にない木の組み方などは、自分たちで考え丈夫で見た目も美しく組んでいかなければならない」と続ける。豊かな発想力も必要な仕事だ。

 元々、ものづくりは得意だった。それでも「仕事を任されるようになり、一人前になったかなと思うまでには10年近くかかった」というほど、技のレベルは高く奥も深い。


“紙一重”の世界は経験と勘が大切  
 元々、ものづくりは得意だった。それでも「仕事を任されるようになり、一人前になったかなと思うまでには10年近くかかった」というほど、技のレベルは高く奥も深い。

 建具の仕事も機械化が進み、電動工具をはじめさまざまな機械が導入されている。でもそれらは職人の技に変わるものではなく、職人が技の発揮に専念できるようにするための機械化と、数原さんは語る。要するに機械は職人さんの補助的役割で、最後は伝統的な道具を使い職人の手作業で作りあげる。その精度ができあがった建具の善し悪しに直結する。

  叩いた音で出来具合が瞬時に分かる
   
 細かい手作業の部分は、経験と勘がものをいう世界だ。使う木材は、反りなど木の癖まで読んで加工し、適材適所にバランスよく配置して組上げる。叩いたり水を含ませて膨らませたりと、微妙な調整も長年の経験と勘が頼りだ。

 所属する会社には、若い職人さん達も育ってきた。「和気あいあい」がモットーだ。仕事に関しては「見て覚えるだけでは自己流になり、基礎を修得できない」と説きながら、「分からないことがあったら聞くこと、相談すること」と徹底して指導する。


職人技を生む道具の数々 数原さんの技が冴えた芸術作品
     
  資料提供:EAST TIMES 2003年7月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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