こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第12回受彰者 ガラス工

桜井 広宣(45歳)さん (株)内木ガラス商会(東京都)

 鉄、コンクリートと並び、近代建築を構成する材料の一つがガラスだ。

 取付けるガラスは、元請会社の担当者と打ち合わせをし、自分たちでメーカーに発注する一式工事での受注が大半を占める。工事以外にも、設計者らの依頼でサンプルをつくり実際に現場で試しに取付けたり、風洞実験など各種の実験も行わなければならないから、仕事の範囲は驚くほど広い。

 取付作業は危険と隣り合わせだ。もちろん機械化は進んでいるが、ゴンドラに乗って外部から手作業ではめ込んだりする作業も多くある。今の現場は超高層で、重さ90sほどもあるガラスを、吸盤のようなパッドで吸着して運び、建物の内外から手作業で取付けている。

見せる空間創りに自負心が…  
 超高層では、ガラスを設置する際に不意に強風が吹き、ガラスが風に煽られて落としてしまう恐れもある。落としてしまうと大事故に繋がるなど致命的だ。それに気を抜いた作業をしていると、ガラスで怪我をする心配もある。

 桜井さんは「普段われわれに要求されるのは品質とか納期ですが、私自身は安全施工を最優先している」と、徹底して安全確保に務めている。

 しかもガラスの取付けは、単にはめ込めばいいというほど単純ではない。ガラスが溝の中心にくるように調整するのは、高度な技能が要求される。同じ建物で厚さの異なるガラスを使用することも多く、そうした場合、外側が同一面上にくるように調整する技能が不可欠だ。日本の場合、ガラスで覆われた建物は、まるで鏡のように周囲の景観を映し出す精緻さを誇るが、この様な技能があってはじめて、世界で最高レベルといわれる精度が可能になる。

  機械化が進んでも手作業は多い
   
 桜井さん自身は町のガラス屋さんのような仕事も厭わない。「奥様方から頼まれれば、自宅のガラス一枚でも取付けます」とフットワークは軽い。若い世代にも、そんな指導を徹底する。指導法は最近では珍しく、厳しいタイプとか。



事前の打合せが品質や安全に直結 高所作業が多く気を抜けない
     
  資料提供:EAST TIMES 2003年11月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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