こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第12回受彰者 土工

赤沼 利美(59歳)さん 橋本建設(株) (三重県)

 長野県上伊那郡の「三峰川総合開発」事業で、洪水時に細かい土砂を含んだ流水を洪水バイパストンネルに導くためのコンクリート堰の建設が進められている。ここが赤沼さんの仕事場だ。

 現場は、三峰川の流水量の少ない厳冬期しか作業ができない。気温は日中でも通常-2度か-3度、時には最低気温が-10度にもなる厳しい環境下にある。

  このため、「作業で最も気を使うことは安全の確保です」と、赤沼さんは言う。

好きな仕事は苦にならない  
 赤沼さんは、若い頃、蒸気機関車の運転士になることが夢で、北海道で旧国鉄に入り、蒸気機関車の機関助手になった。しかし運転士になる前に蒸気機関車は電気機関車などに取って代わられ、夢は実現できなかった。

 その後、東京に出て建設産業に足を踏み入れることになった。「最初は戸惑いましたが、よく勉強もしました」と昔を振り返る。以来35年余、さまざまな現場で仕事をし、二級土木施工管理技士など数多くの資格を取った。

 今はほとんどが監督としての仕事だ。赤沼さんの監督下には約50人の作業員がいる。型枠、鉄筋組立てなど数多い職種の作業現場を忙しく飛び回って監督し、指導する毎日だ。

  ダム上流から分派堰全体を望む
   
 赤沼さんは、「1日に何キロ歩くか分からないほど歩き回ります」と苦笑する。

  宿舎では、30数人の部下とともに共同生活をしている。従って、作業の監督や指導の他に、”アフター5”の指導や相談に乗ることも多い。

  作業をスムーズに行うためには地元の協力が不可欠のため、若い作業員の指導は大切で、ゴミの分別指導まで行う。

  赤沼さんは、「朝6時45分のラジオ体操から午後5時までの作業時間中、品質保持と安全確保のためには一瞬たりとも気を抜けません。好きな仕事だからできる仕事ですね」と言う。



鉄筋の組立てを指導する 完成間近い分派堰
     
  資料提供:EAST TIMES 2004年3月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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