こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第13回受彰者 造作大工

中山 文則(47歳)さん 馬淵建設(株) (神奈川県)

 長崎県五島列島出身で、小さい頃から大工を志し、中学校の卒業制作では学友数人と一緒に学校の「更衣室」を造ってしまったという中山さん。建設会社に就職すると、大工を養成する企業内訓練校に何の迷いもなく入校し、3年間の訓練期間を経て大工への道を邁進してきた。以来、約30年、その技量を認められ、今年5月に晴れて建設マスターの称号を得た。

後輩に身をもって教えるのが信念  
  現在、鎌倉市にある私立学校の校舎建設現場で仕事をしている。4階建てコンクリート造のビルの躯体に木の壁や床を張ったり、舞台を作ったりしている。各階を巡回しながら若い大工さんと打合せ、指導し、時には自ら道具をとるなど、指導に忙しく動き回っている。

 入社当時、会社が主に一戸建て住宅建設を手掛けていたため、しばらくはその現場で修業した。訓練校を終了した直後に、同期生仲間と共に先生に連れられて木造住宅一棟を建設する貴重な経験もした。最近は、マンションやオフィスビルなどの内装の仕事が多いが、時には本格的な和室や茶室を手掛けることもあり、そんな時は無性に嬉しくなるという。

  これまでに強く印象に残っている仕事は、横須賀市にある寺院の約70坪(約231)の庫裏を、イチョウの枯木などを上手く使って作ったことという。現在の建設現場の学校に、少し前の1期工事で完成させた茶室も思い出の作品だ。

  アリーナの舞台製作に腕をふるう
   
 ビルの内装などの作業で難しいのは、「取り合い」だという。これは作業の“段取り”のことと理解すればいい。例えば、電気配線と木の壁の張付け作業などをどう調整するか、といったことだ。調整を間違えると、やり直しになり、ムダな経費を増やすことになる。

  若手の大工には、学校での勉強と実務とは異なることを身をもって教えることに徹しているが、その若手が伸びるか、伸びないかはすぐ分かるそうだ。



図面を手に進み具合を点検 木の床を張る前に下地の具合を調べる
     
  資料提供:EAST TIMES 2004年7月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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