こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第5回受彰者 鉄筋工

鈴木 聰(56歳)さん 田原鉄筋工業(株) (千葉県)

 「仕事は厳しいですが、やりがいはあります。ただ、仕事の成果が建物の壁や床などに隠れてしまうことが、少々寂しいですね」と言いながら、鉄筋の組立て具合を次々に点検していく。

 出身は札幌市。父親が大工だったので、幼少から住宅の建設現場には馴染んできた。

  いずれ建設現場で働きたいと思っていたところへ「ビル建設の骨組みをやらないか」と、友人に誘われ、この世界に飛び込んだ。以来、38年経ち、今は工事部長として後進の指導にあたりながら現場を見回る毎日だ。

仕事の段取りがまず大切と言う  
  現在、千葉県船橋市のマンション建設現場で仕事をしている。基礎工事が済み、床、柱、壁などの部分に鉄筋が組立てられ、まるで鉄筋の林のようだ。

  組立ての難しさは建物の種類によって異なると言う。鉄筋を複雑に曲げたり、折ったりした材料を使用する部分が多いほど作業は難しくなる。逆に言えば、真四角なビルが一番易しいということになる。

 仕事は、設計図を読み取り、段取りをつけることから始まる。段取りを間違えると、一度組立てた鉄筋を外したり、時には打ち込んだコンクリートを破砕しなければならなくなる。
  床面の組立て具合を慎重に検査する
   
 
  ベテランの鉄筋工でも設計図を確実に読取るには、覚えようとする気持ちを常に持って経験を積んでいくことが大切と言う。

  また、熟練者になると、法律等で決められた許容範囲内で材料選びなど自由裁量が許され、創造性に富んだ仕事にもなるという。

  鈴木さんの会社には毎年、3、4人の若者が入社してくる。1年から1年半程度、鉄筋の加工工場で訓練し、柱と梁に使用する鉄筋の違いやその理由などを教える。それから現場へ出すのだが、「長続きする若者は少ない」と、残念そうだった。
建設現場はまるで鉄筋の林だ  
     
  資料提供:EAST TIMES 2004年9月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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