こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第3回受彰者 とび工

高見 和雄(58歳)さん (株)才賀組 (東京都)

仲間と呼吸を合わせること
が大切
 
  部下にテキパキと指示しながら、自らも手を休めずに鉄パイプの足場の解体作業に没頭する高見さんの姿は、熟練の技能者そのものであった。現場は、東京都大田区の多摩川の岸辺近くで、自動車工場の跡地を利用したマンション再開発地だ。14階建てマンションの外装、内装がほぼ完成し、10階で足場の撤去作業中だった。周辺には、既に完成した20数階建ての高層マンションが林立している。
  高所での作業は命がけ

 「再開発の全体プロジェクトで1,000人以上もの作業員が働いている大規模な現場です。納期に遅れないように作業をスムースに行い、一人の事故者も出さないように気を使うのは神経をすり減らします」と高見さん。

 高見さんは、このプロジェクトに携わるさまざまな職種の職長さんの組織「職長会」の副会長を務めている。このため、自分の職種以外の職人さんの作業スケジュールなども把握しておかなければならないため、気が休まるときがないほどだ。

 高見さんは、高圧電線を敷設、修理する送電とび出身で自ら会社を経営していたが、思うことがあり、20数年前に会社を息子さんに任せ、現在の会社に就職した。以来、ほとんど指導者として過ごしてきた。「面映い言い方ですが、リーダーの資質は、一言でいえば、他の職人さんから尊敬の念を抱かれるような人柄です」

腰に付けたベルトには道具類や命綱が  
  とびの仕事は、自らの安全ばかりでなく、鉄筋組みやコンクリート打ち、内装工事などの職人さんたちが安全に作業が出来るようにしっかりとした足場を組立てることだと言う。そのためには、他の職種も含めて作業の段取りをきちんと立て、組立てた足場を他の職種の作業員が、作業の都合から足場を繋ぐ鉄パイプを取外したような場合、作業後に元に戻しておくことなどだという。
今の若者には根性がないと高見さん  


 高見さんは、経験の浅い若者の指導もしているが、「自ら勉強しようとする姿勢がたりない。中には金だけが目的で根性がなく、すぐ辞める若者が多い」と手厳しい。 
 
  資料提供:EAST TIMES 2004年11月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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