こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第12回受彰者 内装仕上工

金子 一二三(57歳)さん 梓内装 (神奈川県)

 内装仕上工にもそれぞれ専門分野があり、金子さんはカーペット系床仕上工事で33年余の経歴を誇る。

 その日の現場は東京・港区のオフィスビルの一室。

 「カーペットを敷く際は、まず部屋の真中から始めます」と言って中央部に座った。建築大工さんが使う“墨出し(墨壷)”で最初に敷く基準地点を決めると、40cm四方のカーペットをよどみなく敷き詰めていく。

 カーペットの床敷きは、長い間使用してもズレないことが肝心。壁際の工事が難しいが、独特の工具を使いながら素早く敷き詰めていく姿はまさに熟練の技だ。ただ、工具の進歩は著しく、ある程度、工具を使えれば平均的な仕上がりは得られる、と金子さんは言う。

墨出しでカーペットを敷く基準地点を決める  
  インテリア会社の営業をしているとき、内装仕上げの工事に同行しているうち興味を持つようになり、出入りの内装職人さんに弟子入りした。その後、独立して現在に至っている。

 これまでに、新宿の京王プラザホテル、横浜のニューグランドホテル、ホテル横浜やロイヤルホテル日航など多くのホテルの客室やロビーを手掛けている。ホテルのロビーのカーペットは、厚いうえに様々な模様が描かれ、特注品で高価なものだ。

難しい壁際の敷き詰めも
特殊工具でスイスイ
 

 さらに工事上のさまざまな約束事が多く、神経の使いようは大変だったと言う。

 床敷きの内装工事業は、個人事業者が多い。金子さんもその一人だが、最近、弟子を一人雇った。金子さんは、横浜市と平塚市の高等職業技術学校の講師をしており、その生徒の一人。

 「最近の若い人は、職人に本当に興味を持っているか、単なる就職の手段としているかのどちらかです。興味を持っている若者は、例えば、掃除などの下仕事に耐えられるので、長続きしますし進歩も早い」と言う。
 
  資料提供:EAST TIMES 2005年5月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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