こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第14回受彰者 機械器具設置工

昭和40年、今の会社に入社。オフィスビル
建設ラッシュの時代に技術を磨いた
宇野 修(58歳)さん 東光電気工事(株)(東京都)

 日本橋のとある中古ビルで、宇野修氏は電気設備のリニューアル工事を行っていた。

 「これは昭和48年に建てられたビルなので、単独運転や運転管理を無人化できない空調で、受変電設備も危険なオープン式です。それを今回、キュービクル式(コンパクトに納め、安全性も向上した高圧受電設備)に更新して、省エネルギーのトップランナー変圧器に換え、個別式空気調和式にします。また、既設幹線(IV線)を新設幹線のCVTやFPTケーブルなどにすべて取り換える工事をしているところです。」

作業はまず各設備の現状負荷と将来
予想される負荷を調査し、電気容量を
算出、受変電設備の容量を決め、建
物内に幹線のCVTやFPTケーブルを
引き、屋上の受変電設備に接続する
   
   建設不況が叫ばれる中、現在、中古ビルの再生が好況である。ニッチな市場ではあるものの、電気工事士は今後も永続的に必要となる職種だ。

 「新築の設備工事を請け負うよりも、今は中古ビル再生工事の方が利益率が良いですね。中古ビルの場合、建物を空にして工事を行うことができないため、通常業務を行っている会社に迷惑がかからない夜間や土曜、日曜に短期集中工事で完成させなければなりません。それに、設備が良くないと借り手が集まらないので、発注者があまり買い叩く事ができない事情が背景にあります。」

 しかしながら、人が休んでいる時間に働くキツイ仕事であるため、技術後継者は皆無に近いとも語る。

 「今は工具が発達しているし、フォアマン制度も導入されていますから、フリーターでもできる作業が増えてしまいました。
  私はもともと電気機械修理の専門学校に通っていて、在学中ビル工事のアルバイトで、設備工の技術を見たことがきっかけになり、この仕事に就くことを決めました。当時は職人の技術と工夫が必要な仕事で、面白いと思ったからです。今では作業をこなすだけの仕事に変わってしまって寂しいですね。」

 とは言え、熟達した手技はさらなる高みを求めているようだった。


   
受変電設備は夜間にクレーンで吊り上げ、重量鳶職人が設置
昔は電気パイプの加工に、職人ならではの技術と工夫の余地がある面白い仕事だった


現在は工具が発達しているため、熟練者
でなくても簡単にできる作業になった。
  工事者がネジの締め付け(トルク値)を管理して印をつける。この線がずれていたら、ゆるんだ証拠としてすぐに点検する   「現在、工事全体を把握できる人は熟練者
しかいない」と憂える宇野氏
 
  資料提供:EAST TIMES 2006年7月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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