こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第15回受彰者 消防施設工

「設置工事は、病院、銀行、テレビ局など
あらゆる場所に及びます。設計上の苦労
も多いですが、色々な経験が積める楽しさ
がありますね」
古澤 孝(47歳)さん 八洲防災設備(株)(東京都)

 「消防設備は保険のようなものです。一生使わない、一回も働かないことが一番の安全ですよね。」

 そう語る古澤氏は、消防施設工の中でも自動火災報知設備のスペシャリストだ。設計から工事、完成検査までのすべてを行っている。人命にかかわる仕事だけに、設備士一人ひとりにかかる責任は重大だ。

火災報知機の消防検査。検査器から
は煙に代わり試験用ガスが出され、
正常に作動するかをチェックする
   元々は電気工であった古澤氏がこの道に入ったのは28歳の時。電気工として消防設備の設置にかかわっていくうちに、消防設備そのものの仕組みに興味が湧いてきたのだと言う。

 「図面はあくまで2次元ですから、現場へ行ってみると部屋が1つ増えていたりと、まったく印象が異なっていることがあります。実際に自分の目で見てから、ベストな場所を自分で判断して設置する必要があります。」

 流線的な形をした天井など、デザイン、インテリアの凝った建物ほど設置が難しい。直天井の場合、梁やダクトなど、他の設備との兼ね合いもある。また、デパート、遊園地、映画館といった不特定多数の人が集まる施設では、それだけ災害時の危険度も高くなり、よりいっそう的確な設備の設置が必要となる。このような時の判断は、これまで様々な場所に出向いて築きあげてきた経験がものをいう。「難しさは同時におもしろさでもあり、消防検査をクリアした時はとても達成感がありますね。」と語る古澤氏からは、“安全”を支える頼もしさを感じる。

 最近では、消防施設工もご多分に漏れず目指す若者は少なく、高齢化が進んでいると言う。現場作業のハードさに加え、免許取得が必須であることも壁となっているようだ。

 「現場で技術を磨くと同時に、第三者とのコミュニケーション能力を身に付けることも重要です。ただ言われた通りのことをやるのではなく、自分自身の考えで動けるようにならなくてはいけません。」

 安全に妥協は許されない。陰ながら私たちのいざという時の安全を支え続ける、まさに縁の下の力持ちだ。


設計図を確認し、最も適切な設置場所を決定する
 
最新式のR型受信機。モニターと音声で火災区域を知らせる。施工能力を
上げるため、本体、配線の小型化が進んでいる
P型の受信機。各警戒区域の名称が書かれた銘板がずらりと並び、火災があると該当区域のランプが点灯する

 
  資料提供:EAST TIMES 2006年11月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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