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蓼沼 康弘(47歳)さん 古澤工業(有)(埼玉県)
屋根やガラス窓から水が浸入してこないように、建物を守るのが防水の仕事だ。建物外部の防水があれば、内部の化粧仕上もある。蓼沼さんは、その中でシーリングと呼ばれる専門職種を担う。この道27年のベテランだ。
ガラスの窓を例にとると、ガラスとガラスの接続部分(目地)に、シーリング材を打込んで水の浸入を防ぐ。打込みに使うのは水鉄砲のような筒に引き金がついた装置「ガン」だ。水鉄砲の要領で筒の中にシーリング材を吸い込み、引き金を絞りながら吐出させて隙間を充填していく。
シーリング材を吐く量と、ガンを動かすスピードがこの仕事の生命線だ。シーリング材を吐出するためのガンの絞りと動かすスピードは、つねに一定のリズムであることが要求される。
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やる気が最も大切と話す |
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「引き金の絞りより手のスピードが速いと、材料が少なくなるし、逆だと予定した長さのシーリングができなくなります」と蓼沼さんは話す。技量の違いが明確に出る場面だ。
コツは、手早くきれいにやること。だから「やり始めると躊躇することは許されません」と言う。それに材料を吸い込むとき空気が入るのは厳禁だ。「経験が少ないと、どうしても材料に空気が入ってしまいます」と、難しさを語る。
シーリングの仕事は、ガンに材料を詰めて打込む基本は変わらないが、材料は飛躍的に進歩してきた。かつては材料がすぐに固まり、効率的にスピーディーな作業が要求されていたが、蓼沼さんは「技術の進歩で本当に扱いやすくなりました」と喜ぶ。
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シーリングは吐出量とスピードが命 |
ただし、天候に敏感な仕事でもある。湿度85%以上、気温5度以下では作業しないという基準がある。
蓼沼さんは、「この仕事で一人前になったと自信をもったのは10年ほど経ってからです」と振り返る。幸いにも、職場の周りでは若い人たちも増えてきた。「自分でこの仕事でやっていこうという自覚があればできる仕事です」と後進へエールを送る。 |