こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第9回受彰者 型枠大工

西 和弘(43歳)さん 戸倉建設(株)(東京都)

 型枠大工は、構造物を形づくったり仕上精度を左右するという意味で、たいへん重要な仕事だ。簡単にいうと、柱や梁、壁、床スラブといった建物空間を形成する部分の外枠を、合板パネルを現場の条件に合わせて加工してつくりあげていく。内部にコンクリートを流し込めば実際の構造物ができ上がりだ。

 高度な熟練度を要する仕事であり、「最近は、躯体精度の向上に合わせて型枠精度も要求されるようになりました」と西さんは話す。構造物は平面ばかりではない。曲面をもつ構造物の型枠工事は職人の腕前が問われる領域だ。1日で何平方メートルの型枠工事ができるかは、職人の腕前を示す指標だ。

職長の仕事は段取りが大切と話す  
 とはいえ西さんのように職長クラスになると、「実際にたたく能力以上に段取りをいかにするか」が大事な役目だ。

 図面を見るだけで、「構造物を頭の中で三次元に把握して、打設するコンクリート量、必要になるセパレーターや支保工のピッチがわかります」。計算もするが勘が必要な場面も多い。図面を広げられ短時間で見積もりを要求されることもあり、工事内容や利益などを瞬時に判断しなければならないこともあるからだ。

 19歳からこの世界に入った。今の会社に移ったのは7年ほど前。「俺のチーム」と自負するように、若い職人さんをまとめた西さんのチームであちこちの現場を移動する。

  若手の教育は「まず、やらせてみること」と言う
 若手の指導は、「まずやらせる」方法を実践する。それは「若手は頭で理解していても実技が苦手なので、実際にやらせないと伸びない」という判断からだ。ユニークなのはそのあとで、「一度そばから離れていなくなります。そして作業が終わる頃に戻り、問題点があったらきちんと指摘する」のだ。やり直しで工程の遅れが心配されるが、「そこは心得ています。そんなことがないように重要な部分はチェックしています」と笑う。

 今の夢は「自分で工夫してうまく仕上がるような独創的な仕事をする」ことだ。




効率的に作業を進めるため鉄筋など他職種のことも考える 1日に60枚のパネルを作ったこともある

  資料提供:EAST TIMES 2001年11月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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