こんにちは建設マスターさん


建設マスター 第4回受彰者 屋根工

村山 謙一(55歳)さん 村山瓦店(神奈川県)

 雨漏りしないことは、建物に要求される最も重要であり基本的な性能の1つ。わが国では、古くから瓦葺きの技術が発達してきた。瓦には、伝統的な和型瓦や近年増加してきた平瓦があるが、村山さんが得意とするのは、高度な技が要求される和型瓦の技能。

 「瓦葺きは、まず屋根に向かって右端(妻側)の瓦を軒先から葺いていきます。これがもっとも大切で高度な技術が要求されます」と村山さんは話す。瓦には曲面があったりするので、それを削ったりしながら平らになるように葺いていく技術・技能が必要になるからだ。瓦葺きの生命線であり、この具合が精度や品質に直結する。

 次に一番下の軒先の瓦を葺き、さらに最初におさえておいた右端の瓦に沿って屋根の左側に向かって葺いていく。

瓦屋根のお医者さんになりたいと話す  
 「瓦には一枚一枚、微妙なねじれなどがあります。だからその具合などを見ながら、バランスよく上手に組み合わせて葺いていく技能が不可欠です」。瓦の癖を見抜き、バランスよく組み合わせる技を修得するのは並大抵ではない。「どんなものでも対応できるようになるには、15年から20年くらいかかる」(村山さん)という世界だ。

 脱サラしてこの世界に飛び込んだ。最初の数年間は、明けても暮れても、下地になる泥を練ったり屋根に上げたりの日々が続く。瓦葺きの仕事も「見て覚えろ」で、失敗しながら修得していった。「今は、早く戦力になってほしいので、若い人達の育成はそういう訳にはいきません」と笑う。かわらぶき一級技能士として職業訓練指導員もつとめ、若手を育成中。

  またたく間に瓦が葺かれていく
 阪神大震災以降、耐震性が低いといわれ瓦工事が少なくなってきたという。こんな風潮に「きちんと施工すれば耐震性は確保できます」と村山さんは反論する。

 「瓦工事は場所が変われば、その数だけの技能があります。だから京都や奈良などにも出かけますし、技術交流にも力を入れています」という。既存の家の瓦の診断をしたり、修理する「瓦屋根のお医者さん」を目指している。

一番端の瓦が仕上げの決め手 手先の細かで微妙な仕事も求められる
     
  資料提供:EAST TIMES 2001年12月号(発行所 東日本建設業保証株式会社)
 
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