2015年10月号
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Premium 2015/10 7 次の③から直接減額方式(前回)と異なります。積立金方式は、当期の確定した決算において、積立金として積み立てる方法で、当期の株主資本等変動計算書に下記の仕訳を表示することによって、貸借対照表(純資産の部)に反映させる方法になります。言い換えれば、損益計算書には、下記の仕訳は反映されません! この積立金方式の場合、直接減額方式で処理した「機械装置圧縮損」が費用に計上されていないため、法人税法上の申告書(別表四)において、税務上の費用(これを「損金」という)に算入することになります。この措置により、①国庫補助金受贈益4,000,000円には、税金が課税されないことになります。ちなみに、法人税法の別表四において、所得を加減算することを「申告調整」といいます。 減価償却費の金額は、機械装置の取得価額を圧縮していないので、企業会計上は通常どおりで計算します。しかし、これでは、前回説明した「課税の繰延」にはなりません。したがって、次のような、会計処理および税務処理がなされることになります。 税法上の減価償却基礎となる機械装置の取得価額は、圧縮積立金控除の後の4,000,000円(=②¥8,000,000-③¥4,000,000)となります。その圧縮積立金控除後の取得価額で減価償却費を計算すると、400,000円(=(②¥8,000,000-¥③4,000,000)×0.100))となります。ちなみに、この金額を税法上の「償却限度額」といいます。したがって、会計処理の④800,000のうち、圧縮積立金控除後の取得価額で計算した400,000円(償却限度額)を超える金額については、機械装置圧縮積立金を取り崩して、繰越利益剰余金に振り替える仕訳が必要となります。さらに、この金額を法人税法上の申告書(別表四)にお③ 決算日につき、当該機械装置について4,000,000円の圧縮処理(積立金方式)を行いなさい。 (借)繰越利益剰余金 4,000,000 (貸)機械装置圧縮積立金 4,000,000 ~純資産~ ~純資産~ ④ 決算日につき、当該機械装置について減価償却を行いなさい(間接記入法、定率法、償却率は0.100、事業供用月数12月)。 (借)減価償却費 800,000 (貸)機械装置減価償却累計額 800,000 ※②¥8,000,000×0.100=¥800,000 ⑤ 上記減価償却費について、機械装置圧縮積立金を取り崩しなさい。 (借)機械装置圧縮積立金 400,000 (貸)繰越利益剰余金 400,000 ※④¥800,000-{(②¥8,000,000-③¥4,000,000)×0.100}=¥400,000 ~税法上の減価償却費計算(償却限度額)~
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