![]() 近年,環境に対する国民的関心は高く,産業廃棄物の排出量の約2割,不法投棄の約9割(厚生省調査,平成5年〜7年平均)を占めるとされる建設廃棄物のリサイクルの推進や減量への取り組みは,建設産業界にとって大きな課題となっている。 「専門工事業イノベーション戦略」(平成12年7月建設省策定)において専門工事業のイノベーション事例100選が紹介されているが,今回は「とび・土工」の専門工事会社が建設副産物の削減システムを元請企業に提案し事業を推進している事例を紹介する。 ![]() 「とび・土工」の専門工事会社である(株)才賀組(東京都新宿区)は,建設副産物の適正処理,資源化,減量化を推進する「建設副産物削減システム」を開発し元請企業への採用を提案している。 才賀組がこのシステムを開発した背景として,大きく2つの要因が挙げられる。 1つは「建設副産物削減システム」を元請企業に提案することにより,副産物の処理を含めた現場の片づけを「とび・土工」工事と併せて受注することが可能となり,これにより受注の落ち込みを最小限に抑える目的。 もう1つは,このシステムの活用により,現場での副産物の収集作業等をマニュアル化できることから,実務担当者として自社の高齢な技能者の活用が可能となり,今後の高齢化社会への対応策として有効であるとの2つの考えからである。 ![]() この「建設副産物削減システム」とは,才賀組が,建設副産物の運搬,処理に関するノウハウを有する廃棄物処理業者との間で業務提携を結ぶことで,才賀組の現場でのノウハウと廃棄物処理業者の収集等に関するノウハウを組み合わせて,建設副産物の適正処理,排出抑制を行うシステムであり,実際の運営は,作業場内での運営を才賀組が,副産物の運搬収集,処理を廃棄物処理業者が担当し,元請に代わって現場での建設副産物の処理を一括で請け負うシステムである。 これまで,建設副産物の処理については,コストや処理に係る手間やコストの増加は避けられないと考えられてきたが,才賀組はここに着目をし,このシステムの活用により,元請企業の手間とコストを削減することが可能であることを強調し,現在取引のない元請ゼネコンに対しても積極的にPRを行いたいとしている。 システムの内容は,まず,各現場の品目別に月ごとの発生量をコンピューターにより予測,分析し,このデータをもとに削減目標の設定を行う。次に,削減目標を達成するために,現場に関わる元請会社,設計会社,協力会社,及びメーカー・代理店等全ての関係者による「3R(Reduce,Reuse,Recycle)推進委員会」を組織し環境を整備するとともに,建設副産物を削減する施工方法や工場加工品活用の提案,資・機材の省梱包,無梱包の推進を元請企業等へ提案するものである。 元請企業のメリットとしては,建設副産物の発生を抑制できるため「環境へ配慮した建設現場」を構築できるほか,建設副産物処理に係る手間や建設副産物の発生・排出量を削減できるため,その処理費用が安くなること等があげられている。 |
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![]() 今後,才賀組では,建設副産物の排出予測データベースを拡充し,工事の規模,工法等による建設副産物の発生,排出のより正確な予想を実現し,最適な処理計画および最適な処理費用を算定し,多くの現場で活用できるシステムの構築を目指している。
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