事例04

幅広く学習機会を提供する、
若手向けの教育訓練機関を創設

姉妹施設(大阪職人アカデミー)で実施されている特殊塗料に関する講習風景

現場での安全対策意識の維持向上を図るために取り組む安全講習

事業管理者の(株)KMユナイテッドでは、年齢、性別、国籍、経験を問わず幅広く採用。やる気のある人財に、安定した雇用と技術を身につけられる機会を提供している

連携体の概要

京都職人育成コース創設計画連携体
所在地:京都府京都市
事業管理者:(株)KMユナイテッド
構成員:(株)竹延、(株)大協建材、田村左官工業(株)、(株)中岡工務店、桝井建設工業(株)
HP:http://www.paintnavi.co.jp/kmunited/

京都職人育成コース創設計画連携体(京都府)

・若手職人の技術力向上と多能工化を図るため、専門工事業者が連携し、それぞれの専門分野を指導する教育訓練機関の創設を目指す。
・通学しやすい場所への立地や、ICTを活用した、場所・時間の制約なく学べるツールにより、様々な人材に幅広く学習機会を提供。

担い手不足を背景に、若手職人対象の教育訓練機関を創設

 担い手不足が叫ばれる中、建設業界では人材の確保・定着を図り、後世に技能を伝えていく取組みがひときわ重要となっている。そこで、関西地区の専門工事業者有志6社による連携体は、経験年数の浅い職人の技術力の向上と多能工化を柱とする、教育訓練機関の創設に着手した。
 連携体のうちの1社で、京都市の建設塗装工事者である(株)KMユナイテッドは、全員正社員、週休2日制、時短勤務可能、早朝から利用できる託児室の設置など、様々な人材を幅広く受け入れられる仕組みを整備することで、人材の確保と育成、定着において成果を上げている。教育訓練機関創設の取組みは、その仕組みと成果も踏まえて進められた。

立地の良さやICT活用ツールで幅広く学習機会を提供

 教育訓練機関「京都職人育成コース」の立地は、京都府木津川市の旧校舎であった「当尾の郷会館」を選定した。京都・大阪都市圏や奈良市周辺の各地から電車で無理なく通える場所であり、子育てや家族の介護などをしながらでも学ぶことができる。希望により地域内の旅館・ユースホステル等を寮として利用することも可能とした。
 コースの受講者は、ベテランの職人から直接指導を受けられるほか、「職人の習熟度に応じた技能」や「匠の熟練技能データ」、「安全・災害データ」が動画で蓄積され、それらをいつでもスマートフォンで視聴・確認できるシステムも用意される。こうした仕組みにより、受講生が都合の良い方法、時間、場所で学べることも、様々な対象者への幅広い教育機会の提供を目指す、当事業ならではの特徴と言える。

自分にあった職種を選択できる育成プログラムを構築

 連携体では、受講者に様々な建設業種を体感、習得させ、その中から自分にあった職種を選択できるようにした上で、本人の希望する職種への就職を斡旋し、離職率を低下させたいと考えている。このことを念頭に、現在、構成員である各専門工事業者が、多能工育成プログラムの構築を進めている。また、連携体では受講者に資格の取得により職人としての自覚、自信を芽生えさせ、それらを仕事への意欲につなげたいと考えている。その環境を整えるためにも、「京都職人育成コース」を、将来的に京都府認定職業能力開発校として承認されるよう拡充させていくことを、今後の主な活動目標の一つに位置づけている。