4 代目となる現社長がテレビ業界で技術者として働いた経験、IT知識を活かし、経営改善に取り組む。ICTの推進と原価管理など各種経営マネジメントで、現場の負担軽減、女性が働きやすい環境の整備などを手がける。土木、建築、まちづくりを手がける地元の建設業。
1.経営改善の契機:
30歳という若さで事業継承した時、産業構造の変化に対応できない地域建設業は生き残れないとの危機感のもと、建設業にも技術革新の波が訪れると確信し、取り組みを始めた。
2.具体的な取組:
・三次元データによる測量機器としてドローン、マシンコントロールブルドーザー1台導入し、情報化施工に取り組む。メガソーラーの民間工事でICT施工を初めて実戦に運用した結果、施工効率は30%程度向上した。
・自社での情報化施工に向けて、補助金を活用し、約1億円以上を投資し、ICT建機導入費用に充てた。測量の場合、ドローンで写真撮影したものを3Dデータに落とし込み、施工はプロの重機オペレーターがICT建設機械を使った場合、効率は30%上がった。さらに今までの100%の負担が、80%にまで軽くなったので、新たな技術習得が可能となった。
・ICT導入に際し、社内の反発はあったが、社長自らが率先して推進した結果、先進的な会社に勤務していると社員の意識に変化が生まれた。また、社員同士が教えあうことで、技術革新に乗り遅れまいとする社風が熟成された。
・移動現場事務所(ハイエースを改造した特装車)を導入した結果、良い環境で仕事が出来ることを評価され、工事成績アップにつながった。
3.今後の展望:
・3Kと言われてきた建設業の現状を、向上心、好奇心、競争心と言い換えることを目指し、技術力と創意工夫で仕事に取り組んでいきたい。
・各自が実務で得た経験や勘にもとづく現場の技術や知識を会社全体のシステムに形式知として継承し、ICTの推進、グループウェア等で組織内の情報共有化実現を目標にする。
・積算から原価管理、さらには会計、書類管理、ワークフローまで、トータルな建設業の管理ソフトを開発してワンストップですべて管理できる基幹システムを構想中。
■社員の技術力を信頼して、社長は自由な発想で経営を構想
・30歳で事業承継した社長は、産業構造の変化に対応できない地域建設業は、生き残れないとの危機感のもと、テレビ業界で技術者として働いていたIT知識を活かしデジタル化、i-Construction導入を推進。
・i-Construction導入で社員の意識が高まり、平均年齢46歳の若い技術者たちが技術力で社長を支える。社員の技術力を信頼して、現場経験がない社長は自由な発想で構想を立案。現場で女性がさらに活躍できるようにテレビ中継車のアイデアで、ハイエースを改装した特装車を現場事務所として利用している。
■i-Construction技術を半年間でマスター
・i-Construction導入による省力化と自社施工を目指した。二つのグループに分かれて取り組んだ社員たちは、切磋琢磨し、約半年間でi-Construction技術を習得。地元富山県の公共土木工事をはじめ、全国で民間の土木工事を手がけている。
・i-Constructionによる測量・設計、施工、出来形管理のすべてを自前で行う。
■原価の日次管理でコスト意識醸成
・コスト管理では、労務原価の日次管理に取り組み、毎日、実行予算に既定額を落とし込んで予定、予算の把握に努めている。この作業を通じて現場社員に原価意識が醸成されてきた。
■女性が活躍する建設業を目指して
・魅力的な建設業を目指し社屋改装等でイメージアップを図り、女性が働きやすい職場づくりを工夫している。若く活気ある女性がいきいき働く職場には男性社員が集まる、という新人採用の好循環を期待した構想。CADデータ作成、開発許可書等作成では、女性社員が活躍して現場とオフィスのコミュニケーション役を担う。
![]() |
事業者名 | 松原建設株式会社 ― 情報化施工 ― |
---|---|
住所 | 〒930-0892 富山県富山市石坂2449-2 |
TEL | 076‐433‐8248 |
代表取締役 | 松原 悠大 |
資本金 | 20,000千円 |
URL | http://matsubara-kensetsu.com/ |
業種 | 総合建設業、不動産開発事業 |
世代交代時社長の年齢 | 30歳 |
売上高 | 2,061,035千円 |
公共・民間の比率(完工高ベース) | 公共 32%、民間 68% |
社員数 | 36名(技術者20名、事務職6名、営業4名、その他6名) 男性31名、女性5名 |
常用外社員数 | 1名 |
平均年齢 | 46歳 |
平均勤続年数 | 13年 |
定年退職年齢 | 65歳 |