1953年創業。代々、家業として、国の直轄の100年事業と呼ばれる立山砂防の工事を携わってきた土木建設業。専務の祖父は地元で「砂防の父」と呼ばれた人。無人化施工、ラジコンによる遠隔操作で、バックホウを使用した工事現場も手がけるなど、ICTの活用にもチャレンジしている。

1.経営改善の契機:
地元の大学を卒業後、建設業に勤務後、実家の立山町内の地域建設業会社に入社。立山砂防に従事する建設業が多数あるが、特に産業のない地域で生き残るために危機感は常に抱いていた。立山砂防などの維持管理を通じて培ったCIMの活用次第で会社の未来が変わるかもしれないと構想した。

2.具体的な取組:

・CIMを使った現場や無人化施工も手がけてきたが、建設業に危機感を持ち、次世代の土木を良くしたいという思いを共有するグループに所属して、ICT活用の情報交換、勉強会に参加している。
・ドローンについては、富山県内でNO.1の会社を目指している。ドローンには、機械整備、操縦、カメラ技術の3つの技術がそれぞれ必要だが、県内には3つの技術すべてを持ち合わせている人は誰もいなかった。そこで、自ら全国へ情報収集に出向いていく。
・ドローンによる撮影映像を利用して工事関係者である作業員、監督、地元の高齢者、発注者への「わかる化」に取り組む。

3.今後の展望:
・ドローンなどの新技術の導入費用は、助成金がでるうちに運用を安定した軌道に乗せたい。
・「立山砂防100年事業PR」のため出前講座へ出向くが、地元の人でも立山砂防の工事について知らない。そこで、発信不足解消のため、地元の商工会に入り、立山町フィルムコミッションとして、映画ロケ地や大学のマラソン部の高地合宿誘致をしている。
・美しい立山町の景色を全国に発信するため、ドローンで撮影して配信。地元の花火大会も上空からドローンで撮影して、会社のHPブログなどもこまめに更新している。

■ドローン技術で県内NO.1を目指す
・国土交通省直轄の立山砂防ダム維持管理をはじめ、地場の建設工事を請負う。小規模経営者ながら、無人化施工、CIMを手がけ、ドローン技術の導入をはじめ、先進的に3次元測量、VR立体現場作成の導入を実現。ドローンについては県内でNO.1を目指し、他社との差別化を図る。立山砂防工事で長年に亘って培ってきた維持管理技術の実績をもとに、他社にない経験とノウハウの構築を目指す。
・立山町の地元建設業として、63年間の長きに亘り、地域を守ってきたが、後継者として、CIMの活用によって、会社の未来を切り拓くことを模索。

■全国の仲間と先進技術の情報交換
・特に産業のない過疎化地域の建設業後継者として危機感を抱き、問題意識を抱く全国の建設業の仲間と連携し、積極的に情報収集や勉強会を行なっている。メンバーとなっている土木ネットワークとソフト開発会社が共同制作したi‐Construction支援ドローン自動航行アプリの開発にも関わる

■UAVによる映像で現場のわかる化と過疎化地域からの発信
・ICT導入では、UAVによる撮影映像を活用して作業員、監督、地元の高齢者、発注者それぞれの関係者への現場工事の「わかる化」を目指している。
・ドローンなどの導入費用には助成金を活用。助成金の対象期間のうちに運用を安定軌道に乗せたい。
・地元商工会の会員としてUAVによる映像のHP掲載による広報をはじめ、映画の撮影チームやマラソン訓練地の誘致活動など、積極的に地域の利活用を発信・推進している。



事業者プロフィール
事業者名 松嶋建設株式会社 ― 情報化施工 ―
住所 〒930-0241 富山県中新川郡立山町道源寺574
TEL 076-463-0885
専務取締役 松嶋 幸治
資本金 26,000千円
URL http://www.e-matusima.co.jp/
業種 道路、維持管理、砂防、護岸、下水道、除草
世代交代時社長の年齢 45歳
売上高 322,555千円
公共・民間の比率(完工高ベース) 公共 96%、民間 4%
社員数 13名(技術者 6名、技能者 5名、事務職 2名)
男性11名、女性2名
平均年齢 48歳
平均勤続年数 18年
定年退職年齢 60歳