1949年に創業、国土交通省・岡山県・岡山市公共事業・民間事業の道路、橋梁、下水道、えん堤、河川工事建築、解体、造成工事等を行っている。技術力で地域の歴史を守り、伝統工法を継承しながらも、若い技術者を中心に新技術の導入にも積極的に取り組んでいる。

1.経営改善の契機:
経営を継承した時、売上がピーク時の1/4の赤字だった。会社をリセットして、他業種へ乗り換えようともしたが、従業員が反対。そこで、現場監督を行う元請けになるよう事業を絞り込み、約3年間、従業員と一緒に自社が手がけてきたことや建設業の意義を改めて振り返り、全容を把握した。

2.具体的な取組:

・発注者も難工事と理解する河川工事で、新工法に加え、いくつかの工法を組み合わせた方法で取り組み、81点の局長表彰を受けたことがターニングポイントとなった。現在は公共工事が98%、元請け率90%となっている。
・i-Construction指定のない小さい工事でも、試行する良い機会だと捉え、国土交通省の情報化施工の全工程にチャレンジした。機械は外注リースをしているが、どういう形が当社に最適かを探っている。
・原価管理ソフトを導入。現場代理人が日報を入力して、現場の損益をリアルタイムで把握。

3.今後の展望:
・レーザースキャンでの3D測量なども導入した。マシンガイダンス、丁張りなしで全工程をi-Constructionで手がけていきたいが、現時点では、機械を外注するしかないため、自分たちで入力できないのがもどかしいと感じている。それでも公共工事でのi-Constructionに活路を求めていきたい。
・元請け企業としては、残業が課題。現場事務所への直行直帰を原則にしている。次世代づくりにむけて、時間短縮が実現するよう仕事を工程別に分析管理中。
・工程を細分化して分析し、工事現場におけるオールラウンダーを育成中。バックオフィスと現場をIoTで繋いで、書類やデータをリアルタイムで作成する方向を模索中。
・会社の生き残りと次世代育成が課題。地元で働く意義や、地域建設業の果たす役割を発信していきたい。
・バングラディッシュなど海外で日本からe-ラーニングのような遠隔技術で伝えて、現場マネージャーを養成したいと構想中

■公共工事に事業領域を特化して技術力を高める
・創業70年の老舗建設業だが、事業継承時は、経営は危機的状況にあった。再建にあたっては元請け建設業者として、公共工事に事業領域を絞って、技術力を高めつつ、建設業として地域貢献に努める。
・経営危機を背景に後継者と技術者(社員)が一緒に社業を見直すことによって、意見交換が旺盛になり意思疎通がはかられた。
・石積工法の伝統技術を持つ地元有数の建設業として、伝統工法の保持と新技術導入という新旧の技術力の両立を目指している。難工事を、高い技術力によって完了し、工事成績評定で高評価を得たことがブレークスルーとなり、次の仕事につながる好環境が実現した。

■原価管理ソフトで日次原価を把握
・コスト管理については、原価管理ソフト導入により日次で原価の把握を行っている。
・地域の建設業として、公共工事において求められるi-Constructionなどの施策にも、技術力、設備投資を行いチャレンジしている。

■人財(材)能力向上を目指して
・最先端の情報を常に入手し、社内教育では取り組みやすい事例からテスト導入させる。
・生産性向上を目指し、コスト的には大きな負担がかからない教育・訓練の整備、標準化で人財能力の向上に取り組んでいる。
・社員の安全に配慮する経営者として、急峻な斜面工事の安全管理のため映像CIM導入を検討した。レジリエンス認証を取得し、リスク管理の視点から能力開発を行っている。



事業者プロフィール
事業者名 株式会社奥野組 ― 情報化施工 ―
住所 〒700-0803 岡山県岡山市北区北方1-1-6
TEL 086-222-7530
代表取締役 奥野 一三
資本金 21,000千円
URL http://okunogumi.com/
業種 総合建設業、土木工事
世代交代時社長の年齢 36歳
売上高 532,181千円
公共・民間の比率(完工高ベース) 公共 98%、民間 2%
社員数 14名(技術者 10名、技能者 1名、事務職 1名、営業 1名)
男性12名、女性2名
常用外社員数 1名
平均年齢 53歳
平均勤続年数 30年
定年退職年齢 65歳