若いほど、技術の習得が早く、身体で覚えた技術は一生の宝になり、生きることの糧になるという信念のもと、建設業を起業して約30年目の理事長が創設。学歴がなくても建築職人なら技術とキャリアを積み重ねることで収入を高めていくことが可能として、目的を見いだせない若者たちに、建設業の楽しさ、本物の知識、仕事に触れられる環境づくりの実現を目指している。

1.経営改善の契機:
・職人を教育するには、10年間はかかるのに、高齢化が進行し、若者が入って来ない状況に危機感を覚え、入職者不足解消を目指して、職人を養成する施設を立ち上げた。昔の職人育成は、親方の背中を見て腕を磨けという時代で、今の若者にはこういった手法は通用しない。学校施設を作って、関係者と協力して、技能者(職人)の担い手を育てることを目指した。

2.具体的な取組:

・いわゆる職業訓練校は年限2年間が多いが、広範囲にわたる修業内容が浅くなり、中途半端で年限が短すぎる、また、職人には忍耐や辛抱も必要と考え5年間の修学期間の育成施設を開校。
・地元の元病院を買収し、改装。用途変更して学舎として活用している。
・香川県多度津町の高校と提携。希望者は、3年間で高校卒業資格も取得可能。
・座学では、建築実習、英語、国語などの一般科目に加え、生活・道徳、華道や書道などの人格形成に必要な科目も設定。週の前半を実地訓練、後半には座学を行い、建設業の全職種を対象に指導。
・1年生の間は、生徒自身にどの職種が適しているかを見極めさせるため、2週間ずつ各職種を体験。本人の希望にそった様々な職種を経験する。2年生に上がる時、自分が目指す将来の職種に特化。資格取得は取れるだけ取らせて、技能士を目指す。自分の意志で選ばせることが大切で、学生たちも5年間も取り組めば投げ出さないという考えによるもの。
・里親制度で30年間に約30名を育ててきた理事長は、不登校や引きこもりの若者が周囲の支援で成長する姿を見て、子どもには家族と地域社会が一体になって支える環境が必要だと確信。

3.今後の展望:
・情報発信が課題。匠の学舎は2016年6月に開校したばかりで認知度が低く、中学生以外の受入れ対象である、高校中退者やひきこもりの青少年に学舎の情報が充分に伝えられていない。
・匠の学舎は、今は塾、プライベートスクール。学校法人化を申請中だが、ぜひ、取得したい。安定的に運営していくために、訓練校に認定されることが課題。
・生徒募集を強化するため、建設業界で賛同してもらえる企業を全国から募集中。

■若者の未来をひらく自立援助
・建設業の職に就きたい若者が本物の知識、仕事に触れられる環境づくりの実現を目指して、理事長が建設業の経営者として培ったノウハウを福祉、教育に活かし設立。設立にあたっては国土交通省のステップアップ支援事業助成金を活用。理事長の私財と、理事長が創業した建設会社のグループ企業の賛助金の他、クラウドファンディングも活用して運営。

■就労里親制度と建設業と職人育成の3つの要素で担い手育成
・中学校卒業以上が対象。幅広い職種(大工・左官・型枠職人・鉄筋・内装ほか)を5年間で技能習得。グループ会社において実習する。希望すれば、高卒資格の取得も可能。
・アカデミーでの技術習得は、NPO法人の自立援助ホームの入寮生と、通学している学生を対象としている。理事長が30年にわたって取り組んできた就労里親制度(福祉)と建設業(経営)と職人育成(担い手育成)の3要素を兼ね備えた事業となっている。

■課題は、認知度アップ及び生徒募集。対象者に届く発信が必要
・建設業の入職者不足の解消を目指し、5年間という年限で本格的に技術習得をすることで職業意識が高まり、定着し、建設業の生産性アップの実現を目指している。
・課題は、匠の学舎アカデミーにおける活動の発信力や広報が弱いため認知度が低く、受け入れ対象者である全国の中卒以上の青年たちに情報が伝えられていないこと。

■学校法人化で安定的な運営へ
・現在はプライベートスクールだが、職業訓練校として学校法人化で安定的な運営を目指している。



事業者プロフィール
事業者名 匠の学舎アカデミー  ― 人づくり ―
住所 〒766-0001 香川県仲多度郡琴平町45番地
TEL -
理事長 白川 勝( NPO法人自立援助ホームこんぴら鞘橋荘  理事長)
資本金 -
URL http://takumi-manabiya.com/
業種 -
世代交代時社長の年齢 -
売上高 -
公共・民間の比率(完工高ベース) -
社員数 -
常用外社員数 -
平均年齢 -
平均勤続年数 -
定年退職年齢 -