瓦屋としては5代目で、祖父が1948年に株式会社(創業)の3代目。13年前30歳の時に社長就任。売上規模は、先代の頃に比べ7倍。
屋根工事の瓦、板金、太陽光のパネル設置及び電気工事を行う。建方(住宅の構造部を立てる2×4専門工事)も扱っている。
1.経営改善の契機:
・阪神大震災で、瓦離れを見越し、次の一手を考えておかねば職人の仕事がなくなると危機感。
2.具体的な取組:
・高齢の職人たちに対応するために、プレキャストシステムの商品開発。60歳以上が高い屋根に登らなくても、工場の中で仕事ができるように開発したもの。
・専門工事業を効率化するための情報管理のスキームを構想。工程管理システムで、職人の動きが主体のソフト。細分化された作業工程をそれぞれの技能レベルの、現場から一番近い職人が移動しながら行い、1日の作業量を示すソフト。1日のうち、1人の職人が、現場を何か所も回るという、自分がその現場から次にどこへ移動するかがわかるソフト。雨でも安全な現場をチャートで設定・管理している。職人自身も移動時間が短縮し、日当もよくなるというシステム。
・受注が一日に70件以上にもなる場合、人が関わるとどうしても取りこぼしが発生する。そこで、ヒューマンエラーが起こりそうな部分はすべて機械化して、データで管理するようにした。
・(一社)利根沼田テクノアカデミーの運営にも参画。建築BIMで、ドローンを使ったリフォームの改修工事を指導している。
3.今後の展望:
・今後、リフォーム工事でもプレカットで工事を手がけていきたい。瓦に見えるけれども、実は軽量屋根材という新商品を開発中。エコで軽くて断熱材機能のある瓦で、リサイクルできるというもの。それは、職人育成が目的で、板金屋であっても瓦屋であっても工事ができる製品を鉄鋼メーカーと一緒に開発中。下地は工場でつくり、現場ではジョイント部分だけを貼り付けるだけのプレキャスト。一般住宅でもハウスメーカーでも需要がある商品。
・マーケットインを考案して京都の運送会社との協業を計画中。同業者の材料を運搬する、共同配送システムの構築を目指している。
■“温故知新” 老舗の瓦屋さんがCADで商開発品
・5代続く、地元では老舗の瓦屋さん。若くして社長を承継。屋根材のプレカットシステムを開発・実践。従来は屋根上で端部を技能者がカットしていたものを、CADの活用で、事前に工場でカットすることにより、高齢化、災害に対応した軽量屋根材で、生産性向上を達成。
■瓦プレカットの一貫システムを構築
・フィリピンにCAD会社を設立して、CADによる割り付け図面を作成。IoT技術を活用してその図面データを群馬県の加工工場に転送して、工場でプレカットする一貫システムを20年前に開発。
■専門工事業の工程管理ソフトで資源効率化と原価低減を実現
・専門工事業(主として瓦工事)における工程管理ソフトを開発。この工程管理システムにより、職人や資材の資源管理を徹底して、(ムダ・ムラ・ムリの排除)資源効率化と原価低減を実現。細分化された作業工程をそれぞれの職人の技能レベルに従って最適な現場に配置するシステム。職人自身にも次の現場がわかり、移動できる。1日の作業量を可視化して、生産性が向上。
■人材育成を機に世界へ
・利根沼田テクノアカデミーの運営にも参画し、講師も務め、専門工事業の人材育成を手がける。日本に止まらずアジア圏(フィリピン、ベトナム他)での技能者、技術者の人材開拓と育成を目指す。
事業者名 | 株式会社マツザワ瓦店 ― 人づくり ― |
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住所 | 〒454-0021 愛知県名古屋市中川区横堀町3-32 |
TEL | 052-361-2713 |
代表取締役 | 松澤 考宏 |
資本金 | 29,000千円 |
URL | http://www.yane119.net/ |
業種 | 屋根工事、建築工事 |
世代交代時社長の年齢 | 30歳 |
売上高 | 560,000千円 |
公共・民間の比率(完工高ベース) | 公共 0%、民間 100% |
社員数 | 22名 (技術者 2名、技能者 8名、事務職 3名、営業2名、その他7名) 男性11名、女性11名 |
常用外社員数 | - |
平均年齢 | 31歳 |
平均勤続年数 | - |
定年退職年齢 | 65歳 |