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連携体名 北海道エコエネルギー技術協会 事業管理者名 (一社)北海道エコエネルギー技術協会
所在地 北海道札幌市 構成員 110社

■自然エネルギー活用の普及啓発とともに、積雪寒冷地での太陽光発電パネル設置に意欲
 (一社)北海道エコエネルギー技術協会は、積雪寒冷地にあって、太陽光及びその他の自然エネルギー(水力、風力、地熱、発熱、燃料電池など)による発電・蓄電システムの設置技術の確立と施工技術の向上・普及を図ることを目的とする団体である。
 平成22年に法人化され、北海道内の中小建設企業を中心に、自然エネルギー発電・蓄電の普及に関係する110社の企業・団体が会員となっている。(平成28年度末現在)
 これまでに北海道における自然エネルギー活用の拡大を目指し、無落雪屋根への太陽光発電パネルの設置に係る様々な実証試験の実施、法人会員向けのセミナー、各自治体のイベント参加などによる啓発・PRに取り組んでいる。
 しかしながら、会員数が横ばい傾向で推移していることもあって、法人会員が協会に所属して活動するメリットを明確に打ち出し、組織の活性化を図りたいと考えていた。とりわけ太陽光の少ない積雪寒冷地の本道において、屋根だけでなく壁外面にも太陽光発電パネルを設置する必要性を意識し、寒冷地型ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)(キーワード解説)の普及に対応できるよう、本コンサルティング支援事業に取り組むに至った。

■積雪寒冷地におけるZEH普及に向け、設置技術の開発促進と多能工の育成が課題
  自然エネルギーの活用については、経済産業省が、2020年には標準的な新築住宅の過半数でZEHを実現することを目標とし、その普及に向けた施策を進めている。
 当協会も国の施策である新築一般住宅向けZEHの普及に対応することを喫緊の課題と受け止めて、必要な取り組みを進めている。
 しかしながら太陽光発電パネルを屋根に設置する際には、専用レールを取り付けて屋根を傷めることなく太陽光発電パネルを設置できるPVレール工法(同協会が開発・商標登録済みの工法)の施工技術の開発促進とともに、それを担う多能工の人材育成が必要となる。
 並行して外壁面を活用する平置式(太陽光発電パネルを直接PVレールに設置)による設置技術の開発にも取り組んでいくことが効果的と見込んでいる。

■事業計画の策定を柱に、寒冷地型ZEH普及に係る事業支援
  以上の現況から2020年代の協会のあるべき姿を見据え、寒冷地型ZEHの普及に対応できる体制の整備に着手することになった。
 本コンサルティング支援内容として、「技術の開発促進と多能工の育成に係る事業計画」(戦略編と推進編の2部構成、3か年計画)を策定した。その作業にあたっては、法人会員用アンケート調査の分析結果と提言を基に、ZEHの本格化に備えて、法人会員が的確に対応できるよう、太陽光発電パネルの設置技術開発の円滑な促進、事業実施体制や推進スケジュールに配意した。
 他にも技術開発に係る助成制度活用の支援、省エネ関連の情報収集と分析、及び講習会や研修会による啓発などの支援を行なった。

■職業能力開発大学校と連携し、工法の実証実験などに取り組む
  関連技術の促進については、北海道職業能力開発大学校に依頼し、設置工法に係る実証実験(ビスの引き抜き強度試験)などを行った。この取り組みを通じ同校との連携を深めたことで、今後、新工法の開発促進におけるさらなる連携も期待できることとなった。
 また、「積雪寒冷地型ゼロエネ住宅に寄与する太陽光発電パネル設置工法の開発と普及」のテーマで、北海道経済部所管の助成制度「先進的エネルギー関連開発支援事業(補助金)」に応募し、採択されるなど、太陽光発電パネルや架台設置技術の開発に取り組んだ。(注)事業途中に経費節減等の事情もあり、上記補助金の活用は見送りとなったが、引き続き取り組みを進めた。

■会員企業の動向とニーズを調査・分析し、対応策などを提言
  多能工の育成にあたり、国土交通省主催の住宅省エネルギー技術施工技術者講習(リフォームセミナー)には、会員企業の社員が多数参加した。また、法人会員の意向があり、協会と大手電機メーカーの社内カンパニーとの共催によるセミナーを開催し、ZEH対応の技術工法の啓発と、現場人材の育成セミナーには会員企業の社員、40名が参加した。
 さらに、ZEHに関する動向とニーズを把握するため、法人会員用のアンケート調査を実施した。アン ケート調査は「技術開発」、「多能工」のテーマ別に各7項目、合計14の質問を設け、27法人会員からの回答を得た。
 その結果、66.6%と、ほぼ3社に2社がZEHへの取り組み意向を持っていること、40.4%がZEHの課題としてコストがかかることを挙げていること、43.4%が現場人材(職人)を少なく募集していることなどが判明した。
 また、スマート・ハウスに欠かせない家庭で使うエネルギーを節約する管理システムHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)については、5%が「既に全棟標準仕様になっている」、35%が「何件かは導入している」と回答している。
 本アンケート調査を実施した活性化アドバイザーは、法人会員の立場に立って、現況を踏まえ、多角的な視点からの分析を行い、多能工の人材の動向把握、講習会や検討会の内容・開催時期も含めて、検討の必要性などを提言した。

■寒冷地型ZEHの普及を新たに加え、2020年代の事業展開の方向性を示す
  今回の取り組みにより、協会は寒冷地型ZEHの普及を新たな事業の柱に加えた、2020年代の事業展開に向け、方向性を示すことができた。しかし、北海道におけるZEHへの対応には、気候的な条件もあって、道外に比べてまだ解決すべき課題が多い。協会が策定された事業計画を足掛かりに、さらにZEH普及の取り組みを推進していくことが期待される。

 ZEH
 Net Zero Energy House の略称。住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現したうえで、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅。

●ZEHへの対応を視野に、アンケート調査を実施した結果、太陽光発電パネルの設置技術の開発促進や多能工の育成に係る課題や法人会員のニーズを把握できた。
●法人会員として、協会に所属するメリットを感じられるよう、事業推進を位置付けた。