事例集

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情報共有には発注者の理解が不可欠

情報共有には発注者の理解が不可欠


書類共有だけでなくワークフローで効率化

事例集大成建設JVの例


   都心の一等地の再開発現場。


   現場の事務を担当されている池田さんは、「場所がいいし、まだ立ち上がったばかりのプロジェクトなので、関係者打合せの出席率もいいんですよ。だから、まだ情報共有の有効性は見えていませんね(笑)」と率直に語る。「でも、工事が進んでいくうちに、徐々に皆さんここばっかりというわけにもいかないでしょうから、なかなか出席できず、情報共有の出番になるかもしれません。」とも。


   他の大手ゼネコンでもそうだが、大成建設では日常の現場管理の仕事は会社独自のネットシステムでないとできないような環境になっている。現場での情報共有は、このネットシステムで用意された“情報共有ツール”を発注者も含め他社など関係者に“開放”するカタチで進められている。


   この現場では発注者から入札前に公開された特記仕様書に『受発注者間の情報共有の仕組みを導入すること』という指示があったとのこと。

   「そう書いてあればイメージが掴めます。“どこまで”という疑問も、聞けば済むわけですし。何も書いてないのに後出しジャンケンみたいに、後から『あれもやれ、これもやれ』と言われるのは困りますよね。」


コラム

   情報共有の問題点は?と尋ねると


   「(前述のように自社のシステムが確立されている現況では)施主側から『このシステムを使ってくれ』と指示されると困惑しますね。お施主さんの言うことには逆らえないし・・・(笑)。でも、自社のシステムとの二重管理になるのでできれば避けたいなあ。」


   発注者としては、以前に成功事例があればそのシステムに好印象が残り、『次もそれを』という要望につながる。しかし、どの情報共有システムでもだいたい機能は一緒。違うのは画面や各サービスの名称ぐらいかもしれない。「そういうものが標準化されれば、解決する問題」と結論付けるのはカンタンである。さはさりながら、ここが各サービスベンダーの腕の見せ所。使い勝手など他社のサービスとの差別化を図るために一生懸命になるところでもある。安易な標準化は、彼らの開発意欲を失わせる結果にもなりかねない。


   結局のところ、この部分の万能回答はないのであろう。発注者と受注者で「どのような情報をどのように共有するか」を十分に話し合い、双方納得づくで情報共有を始める必要がある。そういう意味では、「情報共有」に必要なのは「まずは発注者の理解と協力」ということになるのかもしれない。