トップ >事業承継事例 >親族内承継 >カイ・ハウジング建設有限会社

親族内承継の事例

カイ・ハウジング建設有限会社

事業戦略の再構築を軸とした経営改善計画の策定と実行面の「担い手」として後継者を中心とした実施体制整備

事業承継期間 事業承継を考えはじめてから社長交代までの期間・・・3年
事業承継を考え始めてから株式の承継完了までの期間・・・1年
キーワード 後継者の育成方法 / 事業承継計画の作成 / 建設業許可要件の引継ぎ / その他(経営改善計画と事業承継計画を同時並行して実行)

事業承継に取り組んだきっかけ

~経営改善計画の策定と実行を通じた実質的な事業承継の遂行~
1)当社は、戸建住宅の注文建築及び建売と増改築・リフォーム工事を手掛ける一方、宅地建物取引業を兼業して宅地の売買や斡旋・仲介も行っており、宅地の先行的な取得を積極的に行ったことに伴って資金確保が厳しくなった。加えて、建売住宅などの販売を急ぐあまり値引販売を行ったことに伴って収益面も厳しい状況に陥り、金融機関から経営改善計画策定を求められる事態になった。
2)このような事態を乗り切るために建設業経営戦略アドバイザリー事業の相談支援を受けると共に、後継者育成を兼ねて、経営改善計画策定の取り組みを後継者候補である社長の長男(取締役)に任せることとした。



取り組み内容

1)後継者候補の長男は、全くの異業種の勤務先を退職して当社に入社していたが、後継者としての自覚は高く、経営改善に積極的に取り組むことを決意、建設業経営アドバイザーである中小企業診断士の支援を得て、事業面の再構築を含む経営改善計画の策定に着手した。また、自ら宅地建物取引士や1級建築施工管理技士の資格を取得するなど、事業推進体制の整備に取り組んだ。
2)更に、造園業の企業に勤務していた実弟(造園施工管理技士)に入社してもらい、エクステリア部門の強化を図るなど事業推進体制の強化を図った。その途上で、社長が病気で急逝するという予想外の事態が発生したが、長男と次男が協力して特段の問題なく事業を継続することができた。



事業承継の流れ

STEP.1
平成24~25年(代表交代の3年前)・・・経営改善(事業戦略の再構築)の取り組みを開始

1)棚卸資産(販売用不動産)の圧縮を中心とした資産構成の改善と資金調達力の強化
2)当社のオリジナル仕様(スキップフロア)の住宅の開発と販売促進施策の強化を軸とした事業面の改善の取り組みに着手

STEP.2
平成25~26年(代表交代の2年前)・・・経営改善計画策定と実行体制整備

1)事業面の再構築と実行体制の強化を目指して、その「担い手」である後継者が宅地建物取引士と1級建築施工管理技士の資格を取得
2)建設業経営戦略アドバイザリー事業及び(公財)ひょうご産業活性化センターを活用して経営改善計画を策定

STEP.3
平成26~27年(代表交代の1年前)・・・経営改善計画の実行面の体制整備・強化

1)後継者候補(取締役)の資格(宅地建物取引士・1級建築施工管理技士)を活かした販促施策と商品開発の推進
2)後継者候補である社長の長男に加えて、次男も参画して事業面の推進体制を整備・強化

STEP.4
平成27年(当該年)・・・社長の急逝に伴う代表者交代

1)代表者交代の法的手続き及び金融機関などの取引先との実務的な諸手続きの実行

STEP.5
平成28~29年(交代後の1・2年)・・・法的諸手続きの実行及び社内外への周知と経営体制の強化

1)代表者交代に伴う建設業許可等の手続きの実施及び社内外への代表者が交代した旨の周知
2)新経営者による経営体制の強化と金融機関や取引先との関係強化

今後の課題展望 - 承継後の事業面の強化~オリジナル住宅の販促強化へ建設業と宅建業の一体的推進~

1)承継後の事業面の強化へ向けた「商品力」と販促体制の強化が当面の重要課題である。これまでにも一定の成果をあげている、当社のオリジナル仕様(「スキップフロア住宅」)の継続的な改善と「商品力」強化によって同業他社との差別化を図り、事業面の継続的な強化を目指す。
2)併せて、建設業(解体・造園工事)と宅建業を兼業していることの「強み」を活かして顧客への提案営業の強化など販促の施策を確立して事業面の強化を目指す。



事例における事業承継のポイント

(1)後継者の早期決定と人材育成
(2)社内及び社外における経営者交代の旨の周知・認知
(3)後継者をサポートする人材の確保と体制整備



これから事業承継に取り組む方へのメッセージ - 甲斐 大介

◼経歴
大学卒業後某化学品メーカーの研究員として3年程勤務していましたが、前経営者(父)の大病を機に退社し当社に入社、現在に至る。
◼事業承継の必要性・重要性
前経営者の事業の進め方や経営の考え方を現経営者(後継者)が将来的な事業の方向性を模索しながら、事業を滞りなく安定的に継続していくために事業承継を計画的に実行することが必要である。 また、事業の安定性・継続性を維持するため、事前の承継準備で、期間として3〜4年を要した。当社の場合、前経営者の急逝で承継したが、承継準備期間がなければ、かなり事業そのものに支障が出ていたと思う。その意味で、事前に一定期間をかけて計画的に事業承継を行うことが重要である。
◼取り組みの内容
建設業及び宅建業の継続・拡大のために、現代表者以外の人材の育成と資格取得に取り組んでいる。
◼困ったこと・難しかったこと
前経営者と現経営者(後継者)の方向性の微妙な違いのすり合わせが難しかった。
◼事業承継後の方針について
当社の場合、前経営者の急逝により事業承継をしたため、現経営者(後継者)が持っている方向性を軸にして事業を推進している。



企業プロフィール

企業名 カイ・ハウジング建設有限会社
住所 加古川市加古川町溝之口54-5
代表者名 甲斐 大介
資本金 3,000千円
売上高 135,620千円
従業員数 4人
業種 建築工事、造園工事、解体工事、宅地建物取引業
備考 現代表の就任:H27年10月
ページのトップへ戻る