建設企業が事業承継する際の留意点
建設企業が事業承継を推し進める際には、以下のような点に留意してください。
1.建設業許可
建設業を経営するには、建設業の種類ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受ける必要があります。許可要件を満たさず、「許可切れ」となる場合は、軽微な工事(「建築一式工事」以外の建設工事の場合、1件の請負代金が500万円未満の工事)しか請け負うことができません。(※現行の建設許可制度についてはこちら)
【建設業許可の引継ぎが円滑に!】令和2年10月施行
2.経営業務管理責任者
建設業許可では、「経営業務管理責任者」(以下「経管」)が常勤していることが要件です。代表者取締役が「経管」となっている場合があります。代表者取締役が退任する場合には、「経管」の要件を満たす者がいることに留意しましょう。(※現行の経営業務管理責任者についてはこちら)
【個人としての経営業務責任者から、企業としての役割へ】令和2年10月施行
3.専任技術者
「経管」同様、代表者取締役が「専任技術者」となっている場合があります。代表者取締役が退任する場合には、「専任技術者」の要件を満たす者がいることに留意しましょう。なお、「経管」と「専任技術者」は兼任することができます。(※現行の専任技術者制度についてはこちら)
【専任技術者の要件緩和】令和2年10月施行
4.経営事項審査
公共工事を発注者から直接請け負う場合、「経営事項審査」を受けなければなりません。審査は、「経営状況」(Y)、「経営規模」(X)、「技術力」(Z)及び「社会性等」(W)について行われ、「総合評定値」(P)が算出されます。Wの項目には、営業年数(建設業許可を受けた年数)があり、許可が切れた場合は、その期間が除外されP点に影響します。(※経営事項審査についてはこちら)
5.一般競争入札参加資格
公共工事を発注者から直接請け負う場合、発注機関である国・地方公共団体等の一般競争入札参加資格を得る必要があります。資格審査は、「経営事項審査」(客観的事項)と「発注者別評価」(主観的事項)の審査結果を点数化(総合点数)し、格付けが行われます。一般的に、建設業の許可が切れる場合、格付けに影響を及ぼすことがあります。(※一般競争入札参加資格についてはこちら)
6.知的財産権
代表取締役自身(従業者等)が職務発明、職務考案、職務創作(意匠)を行い、会社(使用者等)に特許権を承継させたなどの場合、代表取締役には、相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利があります。開発した工法や創作した意匠の権利の帰属等を確認する必要があります。(※知的財産権の説明についてはこちら)
事業承継のステップ
事業承継は、以下のような手順で検討しましょう。
知的財産権の種類・権利の帰属等、経営理念、技能・熟練技術、その他の知的資産の状況を確認し、必要な対策を講じます。
事業用資産(個人事業主である場合)、後継者の資金力の有無、貸借対照表に計上されない債権の有無、個人保証の状況などを確認し、対策を講じます。
中長期目標を明確にします。また、後継者育成、収支、相続対策などの計画を策定します。
事業承継のチェックリスト
下記、「事業承継チェックリスト」ファイルをダウンロードし、自社の事業承継状況に点数を付けてください。チェックシートの項目と照らし合わせて、具体的にどのような取り組みが必要か、確認して下さい。また、点数が低い項目に対してのアプローチをチェックしてみましょう。
<本チェックリストの使い方> |
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【1】上記ファイルをダウンロードしてください。
【2】チェックリストとチェック項目の説明を照らし合わせて、3段階で評価してください。 ( 5点…十分である3点…普通1点…不十分 ) 【3】区分それぞれの項目の点数をプロットしてください。 【4】外側に広がっている項目は、レベルが良好となっています。内側に入っている項目は、レベル向上を図りましょう。 |