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親族内承継の事例

株式会社丸山製作所

建設業許可に不可欠な「経営業務管理責任者」要件の充足及び経営者資質の向上による円滑な承継

事業承継期間 事業承継を考えはじめてから社長交代までの期間・・・8年5か月
事業承継を考え始めてから株式の承継完了までの期間・・・15年7か月
キーワード 後継者の育成方法 / 建設業許可要件の引継ぎ

事業承継に取り組んだきっかけ

~『「会社」=「大きな家族」』の幼少期からの認識が事業承継のきっかけに~
前社長から、事業の後継を要請されるなどの明示的な行動はない。現社長自身は、事業を承継することを当然のように受け止めていた。この背景として、幼少の頃より会社や工場で遊んでいた経緯があること、学生時代に習得した知識や経験などが活用できること、「働く場」の雰囲気を体得していたこと、社内の円滑な人的関係が予想されたこと、事業の魅力や当社の経営理念に対する共感などがある。当社への入社及び入職に対する抵抗感はなく、円滑に、経営経験を積むことになった。



取り組み内容

早期の取締役就任により、建設業の許可の要件の一つである「経営業務管理責任者」の要件を充足する。当社は売上高全体の約8割が公共工事である。公共工事を受注するためには、「経営事項審査(客観的事項の審査)」を受審し、公共工事の発注者が行う「競争参加資格審査(主観的事項の審査)」を受審する必要がある。建設業の許可が途切れず、各審査の点数が下がるなどの影響がなく、受注活動に支障を来すことなく円滑に事業を承継している。 また、江東区異業種交流会や金融機関主催の後継者育成プログラムへの積極的な参加により、建設業経営に必要な知識等の習得がなされている。これによって、事業承継時の厳しい局面を打開している。



事業承継の流れ

STEP.1
社長交代の11年前・・・後継者が他社への就職を考えることなく入社

前社長の子息は、子供の頃より当社や工場の現場などで遊んでいたことから、社風などへの抵抗感はなかった。また、入社の条件として、「大学時代の知識や経験が活かせる仕事であること」を重要視しており、その点については前社長からの説明で充足することができたため、他社への就職を考えずに入社を決意した。その時点で、前社長の子息自身は、後継者して承継することを自然と受け入れていた。

STEP.2
社長交代の8年前・・・後継者の専務取締役就任と積極的な取組

後継者は、入社3年後に企画部長に就任する。その2年後に取締役、その2年後に専務取締役に就任。この頃、江東区異業種交流会や金融機関主催の後継者育成プログラムに参加するなど、会社経営に必要な知識を習得する。

STEP.3
社長交代時・・・経営業務管理責任者としての要件を満たして社長交代へ

後継者は、取締役就任から約6年後に、代表取締役(社長)に就任する。この時点において、建設業の許可要件である「経営業務管理責任者としての経験がある者(建設業法第7条第1号)」を充足する。前社長は会長に就任する。

STEP.4
社長交代直後・・・社長就任直後の取組みはリストラ

代表取締役(社長)就任直後の取組みはリストラ(再構築)である。当時の経営状況は、ピーク時の約半分の売上高となっており、50名いた社員を約半分に削減する等、人的リストラを行うと共に、事業の再構築を行った。

STEP.5
社長交代の1年後・・・リストラ後の約1年で黒字化

社員一人一人と面談し、人員の削減は比較的円滑に進めることができた。その他、営業方法の改善や不良債権への対応など、業務全般の見直しを行い、経営体質の強化を図ることによって、1年後、黒字化を実現する。

今後の課題展望-インターネット募集等による親族に限定しない事業承継

事業承継後については、以下に取り組むこととしている。
現段階では時期尚早ではあるが、将来的な次の承継は親族に限定せずに考えている。事業自体に魅力を感じ、当社の経営理念を引き継ぐ意志のある者を想定している。後継予定者をインターネットで募集するなど、柔軟な考えをもっている。「社会の福祉とよき環境づくりに貢献する」という当社の経営理念が永続的に引き継がれることを望んでいる。創業者が考えた社訓等の文言を現代版に修正しており、無形資産の承継も期待している。



事例における事業承継のポイント

(1)早期の取締役就任により、建設業の許可が途切れることなく、円滑な公共工事の受注を実現している。
(2)異業種交流会や後継者研修への積極的な参加などにより、企業経営に必要な知識等を習得している。
(3)専務取締役就任時に個人保証を行っており、早い段階から経営者としての自覚・組織的な意志決定ができている。



これから事業承継に取り組む方へのメッセージ - 丸山 智正

大学院卒業後、当社に入社。社長就任後、最初に取り組んだことは社員のリストラです。当時、50名いた社員を削減し、経営陣を強化するなど、経営の体質改善に努めました。その後約1年で黒字化を達成しました。 当社の事業そのものは魅力のある事業であり、このような気持ちを引き継ぐことが大切なのではないかと思います。つぎの事業承継はまだ先ですが、後継者はインターネットで募集しても良いのではないかと考えています。



企業プロフィール

企業名 株式会社丸山製作所
住所 東京都江東区亀戸7-5-1
代表者名 丸山智正
資本金 3,000万円
売上高 -
従業員数 37人
業種 とび・土工 鋼構造物 造園
備考 -
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