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親族内承継の事例

A社

行政書士(専門家)の助言に基づく建設業許可(更新)要件の充足による円滑な事業承継

事業承継期間 事業承継を考えはじめてから社長交代までの期間・・・10年3か月
事業承継を考え始めてから株式の承継完了までの期間・・・11年2か月
キーワード 自社及び経営者個人の現状把握 / 継時期・年齢 / 建設業許可要件の引継ぎ

事業承継に取り組んだきっかけ

~社長高齢化による引退をきっかけにした計画的な親族内承継~
当時の社長(前社長)は自身のセカンドライフを充実化するため、ある一定年齢(高齢)による引退を予定する。親族内承継以外の事業承継は想定しないことから、息子たちに事業承継を打診する。結果、他社に勤務している次男を後継予定者とすることを決定する。ところが、建設業の許可を継続する関係から、次男が建設業許可要件の人的要件を充足しないことが判明する。人的要件を充足する者のヘッドハンティング等を考えていないことから、専門家である行政書士に相談することになった。



取り組み内容

当社は「電気」、「電気通信」、「消防施設」の3業種の許可を受けている。建設業の許可要件である人的要因は「経営業務管理責任者」及び「専任技術者」であり、これまで社長がその要件を充足してきた。事業承継後は、これを兼任する者を子息にすることを決定し、行政書士の助言によって、以下のとおり要件を充足し、許可の承継を行う方針を示した。
●「経営業務管理責任者」については、当社の取締役としての経験を5年以上積むこと
●「専任技術者」の要件では、「電気」については、「電気工事士」の資格を取得すること
●「消防施設」については「消防施設士」の資格を取得すること
●「電気通信」については「10年以上の実務経験を有する者(法第7条第2号ロ該当)」の要件を充足すること



事業承継の流れ

STEP.1
社長交代の11年前・・・次男を後継者とする承継方針の決定

他社(建設業以外の業種)に勤務する次男を後継者と決定する。公共工事を受注していることから建設業許可の継続が必要であり、そのため、専門家である行政書士に相談。次男1人で許可要件を満たす計画が立案される。

STEP.2
社長交代の10年前・・・建設業許可「人的要件」の充足

他社を退職した次男は、当社の取締役に就任して5年以上が経過する。電気工事士及び消防設備士の資格を取得し、当社にて電気通信工事の実務を10年経験する。これによって、許可要件を充足。許可の継続が担保される。

STEP.3
社長交代時・・・代表取締役・経営業務管理者等の変更

代表取締役社長を変更・登記する。社長は会長職として就任するが、実質的経営権は委譲する。同時に、「経営業務管理責任者」及び「専任技術者」の変更届を提出。「経営事項審査」のP点に影響はなく、営業ができている。

今後の課題展望-工事種類を変更しない民間工事の新たな販路開拓

事業承継後については、以下に取り組むこととしている。
社長就任以降、経営理念を明文化し、会社のロゴを創作し、経営方針を明確化している。「電気工事」、「電気通信工事」、「消防施設工事」の種類を変更せず、公共工事から民間工事の受注を強化する方針を策定している。これまでは会社のホームページを開設していない状況であったが、社長就任以降、積極的にホームページを活用し、情報発信を行っている。電気設備工事スタッフなど求人情報も発信している。受注状況も順調に推移している。



事例における事業承継のポイント

(1)自社の経営状況、許認可の状況及び経営者個人の考えや現状を適切に把握し、計画的に事業を承継すること。
(2)専門家である行政書士による建設業の許可要件、経営事項審査及び入札参加資格への影響等に関する助言
(3)中小企業診断士による知的資産(知的財産権、経営理念、取引先との人脈等)の状況の確認・適切な助言



これから事業承継に取り組む方へのメッセージ - 前経営者

当社の創業者。自分のセカンドライフを充実するため、一定年齢で親族内承継(社長を交代)することを決意する。そのため、長年付き合いのある専門家に相談。建設業法の許可、公共工事の受注への影響、特許等知的財産に関連すること、今後の経営方針等に関する助言を得る。円滑な事業承継には専門家の支援が必要である。許可要件の充足には、時間を要するケースがあり、承継スケジュールの余裕を考えることが重要。



企業プロフィール

企業名 A社
住所 -
代表者名 -
資本金 2,000万円
売上高 約6億円
従業員数 6人
業種 電気、電気通信、消防施設
備考 -
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